リンゴ病 東京都が初の警報…手洗い、うがいで予防を
読売新聞(ヨミドクター) 6月26日(金)
東京都は25日、小学校入学前後の子供を中心に感染するウイルス感染症「伝染性紅斑(リンゴ病)」の患者数が警報基準を超えたとし、都全域に流行警報を発令した。1997年の調査開始以来、都がリンゴ病で警報を出したのは初めて。
リンゴ病の流行を巡っては、1医療機関あたりの患者数が週に2人を超えた保健所を「警報レベル」とする。警報レベルの保健所管内の人口が都内全人口の3割を超えると、都は都内全域に警報を出す。
今月15~21日の1週間の調査までに、計8保健所で警報レベルになり、管内の人口が都内全人口の3割を超えたという。
リンゴ病は頬に赤い発疹ができ、体や手足に広がることで知られる。妊婦が感染すると、胎児の異常や流産につながるおそれもある。飛まつや接触で感染するため、都は手洗い、うがいによる予防を呼びかけている。
伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)はそのあまりに分かりやすい症状(ほっぺが赤くなる)から、、通称リンゴ病という呼び名を与えられている。最近までその特徴的な症状とは裏腹に原因ウィルスが不明であったが、1974年にシドニー大学のイヴォン・コサート教授によって、パルボウイルスB19別名ヒトパルボウイルスとして発見された。このウィルスはいわゆる第5病(このりんご病)の原因ウイルスとして知られるようになり、現在では慢性骨髄不全や胎児死産、胎児水腫など様々な疾患の原因として知られているようだ。発疹は極めて特徴のある症状を呈するので、臨床診断は比較的容易であることや合併症などがまれなことから、りんご病そのものはさして重症、重篤化せず特別な治療もさほど必要とされない。
リンゴ病の進行
・潜伏期間5~6日で血液中にウイルスが出現、気道分泌物への排泄が始まる。
・成人では感染7日目ごろから発熱、頭痛、悪寒、筋肉痛などの非特異的症状がみられるが、小児ではこれらの症状が欠けることが多い。数日で血液中のウイルスが消失し、非特異的症状も改善、ウイルスの排泄もみられなくなる。
・その後約1週間は無症状。
・無症状期の期間を過ぎて後、発疹が出現する。まず両側の頬が発赤し、その後1~4日で体幹・四肢にも紅斑(赤い、平坦な発疹)が出現する。体幹・四肢の紅斑はある程度まで大きくなると、中央から退色し、網目状の発疹(レース状皮疹と表現される)となるのが特徴的である。
・小児では発熱などもほとんどみられず、発疹だけが出現して治癒していくことが多い。
・一方成人では、頭痛、掻痒感、発熱、関節痛および関節炎、筋肉痛など多様な全身症状を伴う。
しかし、問題は感染に飛沫感染と母子感染があり、胎盤からの母子感染では全妊娠期間を通じて感染性溶血による胎児水腫が起こることがあり、流産の危険性が増すという。
病状の進行からも分かるように、厄介なのは症状が出た時にはすでに感染期を過ぎていることで、診断ができても予防が難しいこと。妊婦の方は今回の都の警報などのアナウンスに耳を傾け、当たり前の予防法ではあるが、飛沫感染を防ぐ意味で人混みや多数の人が集まる場を避け、手洗いやうがいを心がけるようにしたい。
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