毎日新聞 2016年8月1日
自ら患った肉腫(サルコーマ)など希少がん対策の充実を訴え、がんの啓発活動に尽力した元プロ競技ダンサーの吉野ゆりえ(よしの・ゆりえ、本名・吉野由起恵=よしの・ゆきえ)さんが7月30日、がんのため東京都内の病院で死去した。48歳。葬儀は近親者で営む。
大分県竹田市出身。筑波大でダンスを始め、国内外の競技ダンスの大会で活躍。視覚障害者へのダンス指導に取り組んだほか、民放テレビのバラエティー番組に社交ダンスのコーチ役として出演したこともあった。2005年にがんの一種の「後腹膜平滑筋肉腫」と診断され、19回の手術を受けるなど治療を続けた。09年には、患者が少なく、「忘れられたがん」とも呼ばれる肉腫治療の拠点施設の設立を願って日本に「サルコーマセンターを設立する会」を作り、同年、国立がん研究センター中央病院に日本初の「肉腫診療グループ」が組織されるきっかけを作った。5年前からは全国の小・中学校などで、がんなど病気との共生や命の大切さを伝える「いのちの授業」を続けていた。【河内敏康】
希少がんといえば、当ブログでも昨年2月にモデルの雅子さんの訃報を紹介している。雅子さんも享年50。月並みな言葉だが、これからという時期にいろいろご無念であろう。経歴を拝見するに、大学在学時にミス日本に選ばれ、その後ダンスのプロとして渡英し英国で10年間ダンスに打ち込まれていたようだ。日本テレビ放送網の人気番組「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」でのヒットコーナー「芸能人社交ダンス部」コーチを歴任されているなど、なかなかアクティブな人生を送られてきている。2005年にがん発覚後の19回の外科手術、なかなか心身ともに大変だったでろうが、それまでの人生同様、がんに立ち向かうという強い意思の表れでもあったのだろう。雅子さんの訃報でも書いたが、稀少がんについては、その言葉が表すように、まだまだその知見が少なく、専門の施設、医師も少ない。吉野さんは病の啓発とともにその拠点施設の設立を目指されたようだが、実現を待たずして亡くなられたのは残念。心より御冥福をお祈りいたします。
吉野ゆりえさんブログ
『キャンサーギフト』19度の手術を克服!「忘れられたがん」肉腫(サルコーマ)と共存する元ミス日本・吉野ゆりえの感謝&いきいきBlog
単行本: 190ページ
出版社: 河出書房新社 (2008/5/13)
ISBN-10: 4309018556
ISBN-13: 978-4309018553
発売日: 2008/5/13
※訃報後、足元を見たハイエナのような古本業者が1万円前後の価格を付けているようです。河出さん再販してくださいよ。