北海道で小学生ら3人、細菌性赤痢に感染…海外渡航なし だと?

赤痢菌健康・医療

小学生ら3人、細菌性赤痢に感染…海外渡航なし

読売新聞 8月26日(水)

 北海道の渡島保健所は25日、渡島地方の小学生男児と親族の40歳代女性、80歳代女性の3人が、細菌性赤痢に感染したと発表した。
海外への渡航歴はないという。
赤痢菌発表によると、3人は今月11~20日、下痢や発熱などの症状を訴え、函館市内の医療機関や渡島保健所で検査した結果、3人の便から赤痢菌が確認された。男児は一時入院したが、すでに退院。3人とも現在は回復、または快方に向かっている。渡島保健所で感染経路を調べている。

細菌性赤痢、学名Shigella。1897年に日本で赤痢が大流行したときに医学者志賀潔により発見されたので、この学名がつく。かつてより赤痢と呼ばれていたものは、現代では細菌性赤痢とアメーバ性赤痢に分けられ、一般的に赤痢と呼ばれているものは赤痢菌による細菌性赤痢のことを指す。その後赤痢菌は志賀の発見したA群に加えB,C、Dと大きく4群に分けられている。糞尿などから食物や水などを経由し、経口感染するケースが大半であるために、食材生産の安全性が上がり、下水が発達している現代では衛生が行き届いて居ない途上国での発生が多い。
症状としては発熱ではじまり、腹痛、下痢が続く事が多い。一般的にA群赤痢菌・志賀赤痢菌によるものは症状が重く、40度近い高熱、激しい腹痛、膿粘血便(下痢便に膿・粘液・血液が混じる)がみられることが多い。赤痢という名称は、この出血性の激しい下痢に由来するようだ。下痢の典型例では「便成分はほとんどなく、膿・粘液・血液がそのまま出ているような状態」となる。一部の患者では溶血性尿毒症症候群(HUS)、敗血症、中毒性巨大結腸症などの重篤な合併症を併発し死亡することがある。一般的に成人よりも乳幼児・小児・高齢者で重症化しやすいという。A群以外(B・C・D群)によるものは重症例が少なく、軽い下痢・軟便や微熱のみで経過することが多い。血便や合併症をみることはほとんどなく、1週間程度で回復する。報道からは特に注記がないのでA群と思われるが、感染経路の解明が待たれる。

国立感染症研究所によれば

赤痢患者数は、戦後しばらくは10万人を超え、2万人近くもの死者をみたが、1965 年半ば頃から激減し、1974 年には2,000人を割り、以降1,000人前後で推移している。
最近では、主にアジア地域からの輸入例が半数以上を占めている。しかしここ数年、保育園、ホテル、施設での国内集団事例がみられ、また、1998 年には長崎市の大学および附属高校で、患者数821 名をみた井戸水を原因とする大規模事例が発生している。2001 年末には、カキ喫食が原因とみられる全国規模での散在的集団発生(diffuse outbreak)で多数の患者が報告された。

とあるように、まだまだ根絶されているわけでもないし、そもそも根絶できるものでもない。途上国からの食材の輸入が増えている現在は皮肉なことに感染源も輸入しているわけだ。当たり前の話になるが、食材などの扱い、手洗いなどの日常生活上の感染予防が最も効果的だろう。