動物のお医者さん、模型で実習 山口大など生体から転換 だと?

健康・医療

8/5 朝日新聞デジタル

山口大と鹿児島大の共同獣医学部が、学生の実習で使う動物を、生きたものから模型に切り替える取り組みを進めている。教育のレベルを保ちつつ、動物に苦痛を与えないという「動物の福祉」の面でも国際標準に引き上げる試みだ。

犬の聴診モデル。聴診器を当てると拍動が聞こえる=山口市吉田の山口大

犬の聴診モデル。聴診器を当てると拍動が聞こえる=山口市吉田の山口大

5月中旬、山口大(山口市)の「クリニカル・スキルスラボ」で、5年生たちが牛の直腸越しに子宮を触診する実習をした。使ったのは模型。子宮の部分は妊娠後の経過日数ごとに大きさや触感が異なる3種類があり、付け替えも可能だ。

獣医学部の実習では通常、生きた動物(生体)を使う。ただ実習用に使える数は限られる。山口大は1学年30人ほどがおり、全ての学生が触れると動物に大きな負担がかかる。

そこで2022年3月末の完了をめざし、1~4年生の実習で生体から模型への切り替えを進めている。ラボには成牛や子牛、馬、犬など12種類の動物の模型が計25並び、聴診や採血、縫合などを練習する。NPO法人「地球生物会議」によると、他の大学と比べて模型が充実しているという。

実習を指導する木曽康郎教授(64)は「模型を使うのは効率がいいし、同一水準で教育できる」と意義を語る。森永有紀さん(25)は「生体でいきなりやっても、勘所をつかむまでには時間がかかる。模型であれば器官の位置をイメージしやすい」と言う。

モデルを使ったトレーニングは、いろんな意味で非常に有用であり、特に実験動物への批判が高まっている現代では、当然ともいえる取り組みであろう。動物たちを治療する。命を救うべく学んでいる諸君が、いくら研鑽や学究のためとはいえ、動物の命や生体の負担をもって執り行うことはある種のパラドックスのようで笑えない。人間の医療においても、というか人間の医療では当然だが、3DCGや3Dプリンターを使ったモデルなどでの研修も行われるようになってきている。近い将来3Dプリンターで出力される素材がもっと柔軟になれば、よりリアルな模型もできるようになるだろう。某アホボンのお友達獣医学部で税金の個人資産化と地方への過剰負担の押し付けなど、獣医学部の政治利用でイメージは少々毀損されたが、未来の獣医さんはめげずにスキルアップを図ってほしい。