「脳食いアメーバ」、温暖化のせいで広い範囲へ生息し始める だと?

健康・医療

ギズモード・ジャパン 8月16日(火)20時10分配信

旅行に行く方は注意したほうがいいかも知れません

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、サウスカロライナ州で泳いでいた人が、暖かい水に生息し、脳に寄生して死に至らしめるフォーラーネグレリアというアメーバに感染したことを認めました。
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その人物は7月24日に感染したと見られ、チャールストン郡のエディスト川にあるマーティンズ・ランディングの近くで泳いでいたそうです。先週の火曜日には、フロリダ州のオーランドからフォーラーネグレリアのための薬が輸送されてチャールストンに到着しました。

フォーラーネグレリアは自然発生するアメーバで、多くの暖水の湖、川、小川などに生息しています。人間への感染は特に稀で、過去10年間、米国で40件が報告されています。最後に死亡が確認された例は2015年の7月、21歳のカリフォルニア州の女性が感染により亡くなりました。しかし環境が温暖化するにつれ、感染が広がるのではないかという懸念が出ています。昨年は、それまでこのアメーバの一般的な生息地だと思われていた地域よりもはるか北にある、ミネソタ州でも発見されました。

フォーラーネグレリアは主にバクテリアを食べていますが、一度人間の体内に入ると、脳を食料にしてしまいます。このアメーバに感染することを原発性アメーバ髄膜脳炎(PAM)と呼び、症状は大体一週間で現れ始め、頭痛、熱、吐き気、嘔吐などに始まり、アメーバが脳内に広がりだすと肩こり、混乱、集中力低下、バランス感覚の喪失、引きつけ、幻覚症状、そして死に至ります。

サウスカロライナの患者を治療している医者は、PAMの治療に成功した例のあるミルテフォシンという抗菌剤を使用しています。Profundaという製薬会社によって製造されているミルテフォシンはまだ実験的に使われている薬なのですが、WYFFによると、アメーバによって子どもを失った両親は、すべての病院にミルテフォシンを準備しておくように訴えています。

前述のとおり感染は非常に稀なので、あなたやあなたの身近な人が暖水で泳ぐたびに怯える必要はありません。サウスカロライナ州の疫学者であるLinda Bell氏が語っているように、感染はかなり困難なのです。

“ まず、アメーバが存在している水でなければなりません。次に、アメーバのいる水に足から飛び込まないといけません。これによって脳に達するのに十分な勢いとともに鼻腔から水が侵入します。ほとんどの場合、アメーバは感染を起こす前に死んでしまいます。水が暖かくて水かさが低い場合、泳いだり飛び込んだりするのは止めたほうがいいでしょう。また、鼻をつまんだり鼻栓を使ってもいいでしょう。アメーバのいる水を飲んでも感染はしません ”

1つ重要なのは、感染した方は、他の方に伝染させることはありません。また、海のように塩水の中にはフォーラーネグレリアは存在しません。

なんとも恐ろしげなアメーバがいるものだ。wikiによると

フォーラーネグレリア(学名: Naegleria fowleri、ネグレリア・フォーレリ)は、ヘテロロボサに属する自由生活性のアメーバであり、通常25–35℃ほどの温水環境で見付かる。他のアメーバ類とは異なり、生活環の中に鞭毛型を持つのが特徴。

だという、つまりは緩いというか温水のような水に生息するようだが、記事では過去10年間でアメリカでの報告例が40件とあるが、wikiではさらに遡って1962年から2015年8月までに134の感染例があり、内生存者は3人であるとの記述がある。ではわが国はというと、

日本では、1996年11月に佐賀県鳥栖市で25歳女性が発症(7日目に意識混濁、9日目に死亡)したのが、2011年現在唯一の感染例である(感染経路は不明)。死亡後の病理解剖では、脳が「半球の形状を保てない程軟化していた」という。

この女性は近い過去に渡航歴もなかったようで、鳥栖の環境がフォーラーネグレリアに適していたのではないかという推測されている。つまりわが国と無縁のアメーバではないようだ。
予防的には、迂闊に生ぬるい淡水で泳ぐことは控えたほうがいいだろう。今後感染例が増えないことを祈るとともに特効のあるミルテフォシンをある程度規模の大きい病院や拠点病院に備蓄するなどの準備も考えて欲しいものだ。