「妊婦の飲酒は一切ダメ」、米小児科学会が勧告
CNN.co.jp 10月22日(木)
米小児科学会がこのほど発表した報告書で、妊婦に対して「アルコールは一切飲んではいけない。たとえ少量であっても絶対にダメ」と呼びかけた。
報告書では、飲酒は妊娠中のどの段階においても安全とみなすことはできないと強調。生まれながらの障害や生後の認知問題の筆頭原因としてアルコールを挙げ、飲酒しなければこうした障害は予防できるとした。
米国以外でもほぼすべての国が、妊婦に飲酒を慎むよう呼びかけている。例外として英国とイタリアでは、飲酒は良くないとしながらも、もし飲む場合は週に1~2回、1杯程度にとどめるよう勧告している。
米疾病対策センター(CDC)が2011~13年に実施した調査では、妊娠中の女性の10人中1人は過去30日以内にアルコールを飲んだことがあると回答。大量に飲んだという妊婦は33人中1人の割合だった。
小児科学会では、妊婦が1日に1杯飲んだだけでも生まれてくる子どもの発達障害の危険が高まると指摘。聴覚や視覚、心臓、骨、腎臓などに問題が生じる可能性があるほか、情報処理能力などの問題や、注意欠陥多動性障害(ADHD)の原因にもなるとしている。
妊娠3カ月目までに飲酒した女性の子どもにそうした疾患や障害が生じる可能性は、飲酒しなかった女性の子どもに比べて12倍、妊娠6カ月目までは61倍、9カ月の妊娠期間を通じて飲酒した場合は65倍に高まる。
一部には、適度な量の飲酒にとどめれば認知問題や行動問題にはつながらないという研究報告もある。
しかし専門家は、たとえそうした研究が正しかったとしても、アルコールに対する反応には個人差があり、一切飲まないに越したことはないとアドバイスしている。
最近は若い女性にも飲酒を楽しむ人が多く、特にワインやビールなどは食事とともに楽しめるということで、日常的に飲んでいる人は多いだろう。喫煙などは見た目からしていかにも健康に胎児に悪そうだし、男女共に受胎を意識して禁煙するという人も良く聞くようになったが、今回の発表のように「妊婦はアルコールを一切飲んではいけない」というのは厳しく聞こえる。さすがにつわりがきつい人などはそれどころではないだろうが、夕食はワインとともになどという人やストレス解消に飲酒する人には若干ハードルが高いかもしれない。いずれにしても、避けられる危険因子である以上、親の選択肢として断酒はしかたがないだろう。逆に断酒できずに後々後悔するような精神的な問題を抱えることになることを考え、愛する我が子の将来を考え、ぜひとも妊婦の方々には心していただければ有難い。断酒の後は出産記念の一杯という祝杯が待っていると考えよう。さてさて、マスメディアを広告費で支配する洋酒メーカーが健康食品まで売っている我が国で、このような警鐘がどのように伝え広がるか注視しておきたい。
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